懐かしくて
記事/ハタチのもも(2003/12/19記)
ある撮影現場に出合いました。強い風が吹いていて、砂埃が舞い上がるシーンを撮っていました。そこに、何かしら香ばしい懐かしい香りが漂ってくるのです。
スタッフの方のおっしゃるには、砂埃に『はったい粉』を使っているそうなのです。『はったい粉』またの名を『麦こがし』と言います。ご存知ない方もいらっしゃるでしょうが、この『はったい粉』は私達が子供の頃には、おやつにしていた食材です。
『はったい粉』を器に入れ、適量の砂糖と湯を入れ、練って食べるのです。この適量とは、好みにより、甘さや硬さが違うので、お好みに応じてと言う事です。遊びに疲れて食べるこのおやつは甘く、当時の私達の最高のおやつだったのです。
大人になってから、マーケットで見つけ、懐かしさから買い求め、早速食してみました。しかし、あの子供の頃に感じた、最高のおいしさは感じることができませんでした。
昔、高級だった食べ物も、今では安価になり、いつでも手に入れることが出来るようになりました。私達の味覚が肥えてきたのか、麻痺してきたのか、昔の素朴な『味』には物足りなさを感じてしまうようになってしまいました。
そして、それら素朴な食材は『健康食品』として、日常食するものとは、少し違うものになってしまったように思います。
食生活が豊かになってきたことは、ありがたくもあり、また一抹の淋しさも感じてしまいます。昔懐かしい素朴な味・食材、いつまでも守り、伝えていきたいものです。
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